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診察法について~②聞診~

みなさんこんばんは。

知っていましたか?もうサッカーW杯が始まっちゃうんですよ!

いろいろとバタバタしている日本代表ですが、どうなるのか楽しみなような不安なような気持ちです。

まずは、30日のガーナ戦、そしてメンバー発表が楽しみです!

W杯の影響で興奮が先走ってます新井芙美法がお送りいたします。

 

はい。話は変わりますが、だいぶ間があいてしまいましたが、前回お話ししていた「診察法」の続き

今回は「聞診」です。

「望診」についておさらいしたい方はこちらからどうぞ→ブログ「診察法について①望診

「聞診」とは…

簡単に言うと聴覚・嗅覚から得る情報を使い診察していくことです。

聴覚から得るものは、音の高さ低さや発声の特徴などの「声」の情報で、嗅覚から得る者は、患者さんからほんのり香る「におい」の情報です。

「聞」の漢字の意味とそのルーツ

聴覚はなんとなくわかりますが… んー?何で嗅覚も使うのですか?

とよく質問を受けることがあります。

そもそも「聞」という漢字には、①きく・きこえる。②評判・うわさ。という意味を持ち、音や声など耳から得た情報を処理する感覚を表わす文字ですが、その他に③においをかぐ・かぎわける という意味があることから、鼻から得た情報を処理する感覚を表わす文字としても使われます。

でもなぜ「聞く」という言葉に、嗅覚がはいっているのでしょう…

さて、みなさんは日本には『香道』というものがあることをご存知でしょうか?

『香道』とは、一定の作法のもとに香木を薫(た)き、立ち上る香気を楽しむ芸道です。香りを聞き、香りで表現される情景を鑑賞する「聞香(もんこう)」と、いくつかの香りを聞き分ける「組香(くみこう)」の二つの要素からなります。

今、香りを「聞く」と耳慣れない表現をしましたが、

『香道』の世界では、香りを「嗅ぐ」という表現は無粋なものとし、「聞く」と表現するそうです。

というわけで、このように昔から「聞」という字には、このような意味が含まれています。

日本の香文化は、古代インドから中国を経て仏教の伝来とともに日本へ入って来たそうですが、東洋医学のルーツも中国やアジア圏から伝わって来たのでなんだか似ていますよね。

似ているところは他にもあり、『香道』では、香りを5つの味(酸・苦・甘・辛・鹹)で表したりもするそうです。鍼灸でもさまざま事象を5つに分けることがあり、味も同じように5つに分けます。

このような鍼灸につながる発見があると勉強していてワクワクしますよね(笑)

少し脱線しましたが、我々鍼灸師は「聞診」を用いながら、患者さんが伝える言葉だけではなく、患者さんが発する声やかおりから、目には見えない空気の流れを感じ取ります。

味については次に紹介していく「問診」の部分でお伝えしていきます。

聞診と声

では、ここからはどのように「声」や「におい」を聞き分けているかをお話ししていきます。

まず「声」についてです。

「声」は、音の高い低いはもちろんありますが、注目しているのは「声の性質」です。

これを5つに分けたものを「五声」と呼び、「呼・言・歌・哭・呻」に分けます。

「呼」とは、言葉の端々に力強さが現れ、呼ばわるような声をしています。

「言」とは、言葉数が多くなり、笑うように話す声をしています。

「歌」とは、言葉に抑揚があり、歌うように話す声をしています。

「哭」とは、言葉を発すると悲しそうで、泣くような嘆くような声をしています。

「呻」とは、ウーっとうなるように音程が一緒で、うめくように話す声をしています。

発声には、肺で息を吸い込み、声帯を振動させ、身体内の空洞で声を共鳴し、口や舌などを動かし発音する。といった流れがありますが、これら発声に関わる呼吸器系の機能が失調したり、またはからだに「寒さ」や「乾燥」が加わると声に変化が起きやすくなるとされています。

楽器は良い音を出すのに、温度や湿度の管理が大切で、それらに変化が大きいと音や響きが変わったりします。

人間の体も寒さ・乾燥が加わると、声の発生に変化が出てきます。声に変化が現れるときには、からだの不調の原因として、それらが悪さをしていることが考えられます。

聞診とにおい

次に、「におい」についてです。

人から発するかおりは、いい匂いの人もいるかもしれませんが、良くない匂いです。いわゆる「臭い」です。

これを5つに分けたものを「五臭」と呼び、「臊・焦・香・腥・腐」に分けます。

それぞれ、臊(あぶらくさい)・焦(こげくさい)・香(かんばしくさい)・腥(なまぐさい)・腐(くされくさい)と読みます。

現在は、香水や香り付きのデオドラントスプレーなどの香料を使うことがあるので分類は難しいことも多いです。また、多国籍の料理を食することが多くなった現代では香辛料も多くそれらの香りがからだにつく事もありますので診察には注意が必要です。

料理などを想像してもらうとわかりやすいかと思いますが、炒めたり・焼いたり・蒸したり・燻したりと火を使う料理は、よくいい匂いが香ってくるものです。

人の体も熱が加わると臭いを発しやすくなります。からだに臭いが現れるときには、体の不調の原因として「熱」が何か悪さをしていることが考えられます。

おわりに

というわけで、今回は「聞診」についてお話しさせていただきました。

あくまで治療に結び付くヒントの1つですので、このように声に変化があったのならば必ず寒さが悪さをしているとか、においに変化があったのならば必ず熱が悪さをしていると断定的に決めつけて治療をしているわけではありません。その他にも様々な診察をしながらおからだがつらくなっている病態を総合的に診て治療に繋げています。。

 

次の機会には、「問診」についてお話していきたいと思います。

更新日:2018.05.29

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