巽堂だより No.10(まいたけ酒編)
免疫の基礎知識
☆今日の食材はまいたけです。
まいたけ酒
きのこのなかでも、まいたけに特に豊富な成分があります。
それは「D-フラクション」という多糖タンパク(糖とタンパクが結合したもの)です。 このD-フラクションが免疫の過剰な強まりを抑える働きがあることがわかってきました。
免疫システムは、何種類もの免疫細胞がバランスを取りながら働いています。 免疫力は強ければ強いほど体に良い作用を及ぼすわけではありません。 免疫力の働きが強すぎると有害な反応を示し、自らの体の組織を攻撃することがあるのです。
こうして起こる代表的な病気にアトピー性皮膚炎や花粉症、喘息などのアレルギー疾患があります。 免疫力の過剰な強まりを防ぐためには、免疫細胞の働きのバランスを上手く保つことが肝心です。 まいたけに含まれるD-フラクションは、免疫細胞のバランスを調整する働きに優れていることがわかっています。
また、D-フラクションはがん細胞を殺し、がん細胞の増殖を抑え、できてしまったがんをより効果的に縮小する働きがあるという研究結果も報告されています。このほか、まいたけには、ビタミンB1 ・ B2 ・ D、カリウム、亜鉛、鉄、食物繊維などの栄養素も含まれています。 まいたけのD-フラクションは、加熱してもその効果は変わりません。
そこで、まいたけの薬効を逃さず得るには、汁ごと取れる味噌汁や鍋物、炊き込みごはんなどにして食べるのが適しています。 ここで紹介する「まいたけ酒」は、焼酎にまいたけを漬け込んだものです。 焼酎には疲労を回復したり、身心のストレスを取り除いたり、安眠の効果をもたらす効果があります。
また、まいたけと焼酎を合わせることで、更なる薬効も期待できます。 まいたけをアルコールに漬けると、有効成分が溶けやすくなります。 そして、アルコールがまいたけの成分を破壊せずに全身のすみずみまで運んでくれるのです。 まいたけ酒の1日あたりの適量は、御猪口1杯程度です。そのまま飲んでも、水かお湯で割って飲んでもかまいません。
<作り方>
材料 (1日分) まいたけ300g ホワイトリカー(焼酎・35度)1.6~1.7ℓ
- まいたけは水で洗い、キッチンペーパーなどで水気をよく拭取る。熱湯消毒した密閉容器にまいたけを入れ、ホワイトリカーを注ぐ。
- 密閉容器のふたを閉め、冷暗所に置く。
- 2週間おいたらできあがり。
さらにおいて熟成させると、成分が抽出され、味もまろやかになる。 ☆ポイント☆
- 1日に御猪口1杯飲む。
- 漬けて2週間後から飲める。
- 夕食後か、就寝前に飲む。
免疫医学研究会 2011年8月号より
更新日:2015.11.06