診察法について~①望診~
みなさんこんばんは。
「花粉症」の足音がだんだん近づいてきたのではないか?とビクビクしながら過ごしています新井芙美法です。治療や養生のおかげでそこまで症状がいまだに出ていないのでご心配なく。
はい。先日2月25日(日)は、第4日曜日ということで、毎月参加している勉強会の日でした。
講義の内容は、当院院長の新井康弘が「診察法 こころえ」と称して行いました。
患者さんとの接し方や、診察をしていく手順、そのポイントなど治療を進めていくうえで大切なことが盛りだくさんな話でした。
そんなわけで今回は、わたしたちが治療の際に行っている「鍼灸の診察法」ということについて話していきたいと思います。
正直なところ鍼灸というのはまだまだ治療としては認知されていることが少なく、一般的におからだ辛くなった時に思い出されるのは「西洋医学」=病院です。
みなさんもおからだがつらくなった時に病院に行かれたことがある方がほとんどだと思いますが、その時を思い出してみてください。
西洋医学における診察は、患者さんが部屋に入ってくる際の歩き方や動作、返事の声などから始まっています。(正直パソコンを見ていたり、予診票に目を通していて見ていない場合もあったりしますが…)
その次に、どのような症状ですか?いつからですか?どんな時に辛くなりますか?などを聞いていく「問診」をしていきます。そして、その症状が起きる原因を見つける為に様々な検査をしていきます。いわゆる徒手検査や血液検査、画像検査などですね。
それらから戻ってくると、担当医の先生が診断をしていくわけです。原因がわかって病名がつくようならそれに応じた治療が進んでいきます。しかし、検査をしてもわからないような場合もあります。症状があるのにもかかわらず原因がわからないことは不安感もありますよね。対処療法的に症状に対してお薬が出たりしながら、患者さんに経過観察をしてもらうようになります。
では、わたしたち鍼灸ではどのように診察を進めていくのでしょう?
われわれは「望・聞・問・切」という診察法を用いて、おからだの状態を把握していきます。4つの診察法ということで、「四診法」といいます。
わたしたちは血液検査や画像診断を治療院で行なったりはしないので、五感をフル活動させ、この4つの診察法を使いながらおからだを診ていきます。
では、まず「望診」についてです。
「望」というのは、簡単に言うと、視覚からの情報です。見た目からどのような状態が窺えるか?ということを診ていきます。
その時何を見るかというと、顔色や表情・舌・目の輝き・身体の形などを診ていきます。漢方などでは歯の状態なども診ていくそうです。
東洋医学的な診察とは少し違うかもしれませんが、筋肉や骨格などの観点から診ていくことも大事です。姿勢や歪み・からだの使い方のくせなども診ていくことも望診に含まれるかと思います。(このような見方は現代医学的な鍼灸治療院に多くみられます。)
東洋医学では、色を基本的に「青・赤・黄・白・黒」の五色に分類していきます。
この色の情報が治療に結び付いていきます。
たとえば、顔色が赤い方が患者さんで来たとすると、まず赤色は心臓などの「火」というグループに何か影響が出ていると考えることが出来ます。
「火」というのは、車で例えるのならエンジンのような存在です。からだを動かすための熱、原動力になるための火ということです。。
心臓などの「火」というグループには、循環や血液、精神的な活動変化などの働きがあります。
この「火」に影響が出てくると、これらの働きがうまくできなくなってきます。症状などでいえば、血圧の異常や動悸、精神的に不安定になったりしてきます。その表れとして顔の色に赤みが出てきます。
ということは治療にお越しになる患者さんは、今お辛い症状が悩みの種だとは思いますが、様々な事柄が症状以外でもおからだにあらわれていたりします。その一つに「色」としておからだにあらわれていたりするのです。
東洋医学のなかに含まれる「五行論」という森羅万象を理解するために古代中国で考えられた思想では、様々なことを「木・火・土・金・水」という五つの性質に分けて考えます。人間の体というのも森羅万象の一つということですね。
この「五行論」の話をするとなると難しく長くなりそうなので、またの機会に話していきたいと思います。お楽しみに!
次回は「聞診」について話していけたらと思います。
更新日:2018.03.01