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巽堂だより No.9(腸健康編)

免疫の基礎知識―免疫力アップのポイント

腸は最大の免疫臓器

腸の表面というのは、体のいわば「内なる外」といえます。 体の外から入ってくる食物にふれる部分が腸の表面ですが、食物は人間にとっては異物ですし、有害物質や細菌が含まれていることもあります。腸は、その食物を体内に取り入れてもいいかどうかを瞬時に見分ける働きがあるのです。

そんな腸の役割めために活躍するのがパイエル板というリンパ組織です。 腸に100カ所以上あるこの組織には、骨髄でつくられ、免疫反応をつかさどるリンパ球であるT細胞が集まっています。骨髄でつくられたT細胞はパイエル板に運ばれて、腸に入ってくる異物と接触します。 これは、いわば常に異物を見分け、攻撃する訓練を受けることになり、T細胞が活性化された状態になるのです。

ちなみにこの仕組みは、体外の物質に対してだけではなく、体内にできた物質(ガン細胞)についても同様です。 私たちの体のなかでは、毎日数千個ものガン細胞が発生しています。 ガン化した細胞はもともと自分の組織であり、いわば不良化した身内です。

そのため、身内には甘い傾向があり、免疫細胞がガン細胞をやっつける力も、それほど強くはありません。 ところが、パイエル板で訓練されたT細胞は活性化された状態なので、ガンが小さいうちにたたいて、大きくなるのを未然に防いでいます。 これを腸管免疫と呼びます。 腸管免疫は体内で最大の免疫系でもあります。

では、この腸管免疫を高めるためには、どうすればよいのでしょうか。 腸管免疫に重要な影響を及ぼしているのが腸内の環境、すなわち腸内細菌の状態です。 腸内には100種類以上、100兆個もの細菌がすんでいるといわれます。 この腸内細菌の状態をよくすることが、腸内免疫力を高めることにつながります。 そして、腸内環境の改善は、毎日の生活習慣に対する配慮によって十分に可能なのです。

<腸内環境を高めるポイント>
  • 食生活の改善 食生活の欧米化で、動物性脂肪・タンパク質の摂取量の増加となり、逆に食物繊維の摂取量が減少してきました。野菜を多く摂り、少食、低カロリー食を心がける。
  • 腸内の善玉菌を増やす ビフィズス菌や乳酸菌を体内に入れる。 発酵食品(味噌など)を摂るようにする。
  • ストレスを解消 いかなる病気にも関係ありますが、日ごろのストレスを溜めないように発散を心がけましょう。

免疫医学研究会誌 2011年 5月号

更新日:2015.11.06

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